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ateliers PENELOPE ②

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『PENELOPE―ペネロープ』
ギリシャ神話に登場する女性の名前。
その姿は優美でありながら、
内に秘めた信念を貫く強さを持つ女性であったという。

使う人を限定しない、万人に愛されるデザインとクオリティのバッグ。
ateliers PENELOPEのデザイナーであり、
オーナーの唐澤さんは、客層の幅が広いほど嬉しいという。

「年齢も性別も関係なく、多くの人に使ってもらって、
その結果をつくり手として受け入れたい」
という姿勢は、モノと情報が溢れる時代にあって驚くほど潔いと思う。

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「今は何でも同じ方向へ向かっていて、
普通のモノが手に入らなくなってしまった。
私は本当に必要な、普通のモノをつくり続けていきたいと思います」

言いえて妙。
売れることを追求し、誰かの真似をくり返した結果、
いつの間にか今は原型にこそ希少価値が存在するような気がする。

唐澤さんは、いつもこの仕事をする意味を考え続けてきた。
やり始めた以上は成し遂げたい……。
そして、自分にはこれしかないと覚悟したとき、
自らの心を落ち着ける場所が
アトリエで主人を待つミシンの前になった。
凛として仕事と向き合う唐澤さんは、
店名と同じ、神話の中のPENELOPEのようだと思う。


        ateliers PENELOPE「息する空間でつくり続けたい」
             BonAppetit-2(2007年10月発行)より抜粋

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ある雑誌に掲載されていたバッグに一目惚れをした。
モデルさんの傍らに、きりっと佇んでいたのが
ateliers PENELOPEのバッグ。
変な話だけれど、私の物欲は人並み以上だと思っている。
でも、ファッション誌で見つけた商品が
どこのものか調べて買いに走る!なんてことは一度もなかった。

その私が、初めてページの片隅に
小さく書かれた店名だけを頼りに場所を探し、
営業時間を確かめ、いざペネロープへと向かったのが2年前。
代官山のマンションの一室から、
現在は中目黒へと居を移したが、
いつも小さな驚きを与えてくれるバッグはもちろんのこと、
唐澤さんが醸す心地良さと、スタッフの柔和な笑顔は何ら変わらない。

text by Fumie Nagai

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by bonappetit2007 | 2009-10-01 18:03 | 作家
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