真っ暗な部屋の中で、スイッチを入れると ひんやりとしたコンクリート素材の家の中に灯りがともり くりぬき窓からすっと光伸びる。 「夜の山道で迷った時、遠くに家が見えて そこから灯りがもれている…そんなイメージでつくったんです」 家型照明House to Houseを生み出した ランドスケーププロダクツのデザイナー江藤公昭さんが話してくれた。 素材に使ったコンクリートは、 すべすべと滑らか過ぎず、かといってゴツゴツもしない ほどよい質感を出すために、何度も試作を重ねたという。 着想時には丸型だった窓は、試作段階で四角に変更するなど 光の漏れる角度にも気を払っているという。 「機能的な照明というより、心に働きかけるような照明にしたかった」 と江藤さんは言うが、実際に暗闇の中で House to Houseの光を見つめていると いかに光を機能的にしか捉えていなかったか気づかされる。 普段は意識することのない、光へのありがたみすら感じるのだが、 その秘密は、どうやら家型にあるようだ。 「世界中どこへ行ってもこの家型は共通。 ぼくたち人間のDNAに組み込まれているかのように、 家型というフォルムには、きっと意味があるのだと思う。 この形を見れば誰でもほっとするし、安らぎを感じられるんじゃないかな」 「廃材を利用して何かできないか…」 それが、House Blockが生まれるきっかけとなった。 住宅などを作る際に余る廃材を家型に切り 屋根の斜面に色を付け、玩具にするという発想。 当然エコではあるが、かといってそれだけが売りではない。 広島の家族経営の工場で、一つ一つ手塗りしているという屋根の色には バターミルクペイントという天然の水性塗料を使用。 その鮮やかな色調は、どこか外国の家並みを思わせる。 素材には米松を使用しているため、使うほどに飴色になっていく。 商品そのものの魅力が何にも勝るのだ。 House Blockの制作に携わった池田陽介さん曰く 「ランドスケーププロダクツの活動のコンセプトに “マン・メイド・オブジェクトMan-Made Object”(※)というのがあります。 人間が作り上げた無作為の美のことでもあるのですが、 House Blockにもその思想を生かしています」 実際、House Blockを使ってみると (撮影のため、大人3名で使用!) 3種類の高さがあることで、遊び方にバリエーションが生まれる。 ブロックを縦横斜めに回転させ、頭もひねり… 大人3人で城を作ることに、いつの間にか夢中になっていた。 マン・メイド・オブジェクトには 使い方を限定しない、自由な余白があるのかもしれない。 text by Tomomi Igarashi
by bonappetit2007
| 2009-09-02 17:56
| 作家
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